「右に出る者がない」って、どうして左じゃダメなの？

【无出其右】、为什么不是左？

　「将棋なら彼の右に出る者はいないよ」と言ったとき、普通は「彼は将棋がめっぽう強く、勝てる人がいない」ということを意味します。
【在下将棋这方面，他无出其右】的意思是【没有比他下将棋更厉害的】。

　裏返すと「彼がめっぽう弱かったら、みんなが右に出てきて、左側に追いやられる」ということになります。「右＝上位」「左＝下位」と横並びにして、序列を表現しているわけですね。では、どうして右の方が偉いのでしょうか。

反之，【如果他很弱的话，所有人都能从他右面出来，然后从左边超过他】。「右＝上位」「左＝下位」，虽然感觉这只是序列的表现而已，但是为什么右边会更伟大呢？

●由来は古代中国だけど……
 ●来源于中国的…… 

　「右に出る者がない」を辞書で引くと「古代中国で、右を上席にしたところから」と注釈が。古代中国に「右→左」という序列の考え方があり、それが由来になっているというわけです。そういえば、低い地位に落とすことを意味する「左遷」という言葉もありますね。

 在字典上查【无出其右】的话，有这样一句注释【古代中国，右边是上座】。古代中国是从右向左的排列顺序。例如【左迁】就有地位降低的意思。 

　これにて疑問解決。めでたし、めでたし……と片付けたいところですが、調べているうちに例外が出てきてしまいました。

 这个问题终于解决了，可喜可贺啊……但是查阅资料的时候却发现了例外。
 
　それは、学校で日本史を学んだ人なら聞き覚えがあるであろう「左大臣」「右大臣」。いずれも律令制度におけるかなり上位の役職なのですが、先ほどの例に反して“左”大臣の方が上なのです。

 在学日本史的时候一定对「左大臣」「右大臣」有印象吧。根据律令规定，“左大臣”的地位反而高于“右大臣”。 

　律令制度も古代中国を手本にしたものですから、左右の優劣が逆になるのは道理が通りません。一体どういうことなのでしょう……？
法律律令是以中国为范本制定的，为什么左右这个概念在这里反而不一样了呢？

●古代中国も気まぐれだった？

●古代中国也搞混了吗？

　一概に古代中国と言っても、左右の優劣は時代によってまちまちでした。

时代不同，在中国左右这个概念也不同。

　「新漢語林」によると「中国では、ほぼ周は左を尊び、戦国時代は右を尊び、秦・漢も同じく右、六朝時代には左、唐・宋もこれと同じく左、元は右、明は左を尊び、清に及んでいる」とあります。ややこしいですが、とにかく数百年ごとに左右どちらが上位かは変わってしまっていたのです。
【新汉语林】里说：【在中国周朝、六朝、唐、宋、明、清以“左”为尊；秦、汉、元、以“右”为尊】。数百年“左和右”含义的变化可真是复杂啊。

　日本はその時々で生まれた言葉をそのまま輸入してしまったため、「左大臣から右大臣に左遷される」みたいなややこしい事態が起きてしまったのですね。

日本那时候直接将其引用过来，也出现了【右大臣是由左大臣降职而来】的闹剧。

●「左翼」「右翼」は？

●「左翼」「右翼」又是什么呢？

　ちなみに優劣ではなく、考え方の違いを表す「左翼」「右翼」は、フランス革命期の国民議会に由来。議長席から見て急進派が左に、穏健派が右に座っていたそうです。

首先声明，这两个词没有优劣之分，只是思考方式不同，是从法国革命的国民议会产生的。

议会长是急进派的话就是坐左边，稳健派的话就坐右边。

来源：ねとうぼ

翻译：doraemonqiqi

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